牧山分校は1年生から5年生までの11人が通っている岡山市唯一の分校です。6年生になると10キロ離れた牧石小学校に電車で通います。本校は有森裕子さんの出身校です。
分校では数年前から、学区内にある牧山クラインガルテンで行われる収穫祭に出店させてもらってPTAバザーを行っています。昨年のバザーでは、有森さんがスポーツNGO「ハート・オブ・ゴールド」を設立されだことを知り、応援をしようと、活動パネルを事務局からお借りして展示し、募金箱をおきました。多くの方が協力してくださいました。
 年が明け、保護者の2名が届けに行ってきました。そこで彼女とお話をしたのですが、分校までの距離や始業時間を聞かれた後、しばらく考えられて「明日の朝、走ってお礼を言いにいきましょう。ただし予定にない思いつきなので大げさにしないでください。子どもだちにも内緒にして驚かせてやりましょう。ちょっと遅めのサンタさんということにしてください。」これは大変なことになりました。この夜、11軒の家には子どもたちに聞かれないよう翌朝少し早めに登校させようという連絡が回されました。
 翌朝、とくに冷え込み霧の深い中、黄色のウエアーに身を包んだ有森さんが牧山の道をかけ抜けて来られました。途中で子どもたちは追い抜かれたようです。8時前には、校長、教職員、保護者、近隣の方、近くの子どもたちの出迎えるなか分校に到着されました。子どもたちのつく10分あまリの間、10キロ以上走ったばかりとは思えないほどの表情で次々と記念写真やサインにこたえていただきましだ。8時半には出発しなければならないという短い間でしたが、カンボジアの子どもだちが地雷によって手足を失っていることみんなの集めてくれた募金によって義足を買えること、勉強するための用具が買えること、野菜づくりの指導ができることなど丁寧にわかりやすく話してくださいました。今まで遠い国だっだカンボジアが有森さんを通じて身近な国になりました。みんなはもうカンボジアの子どもだちとお友達だよといわれ、目を輝かせていました。
 走ることによってこのように皆に感動を与えることができるまさにプロのランナーだと思います。走って帰られる姿を見送りながら、子どもだちは「速いなあ」「すこいなあ」を連発していました。大きな大きなプレゼントをありがとうございました。(谷合裕子)