ハート・オブ・ゴールド(以下、HG)はJICA草の根技術協力事業の委託を受け、2017年1月から、カンボジア教育・青年・スポーツ省(以下、教育省)と協働で中学校体育科教育指導書作成支援・普及プロジェクトを開始しました。
2016年12月に、HGが教育省と共に作成した学習指導要領が教育省に認定され、体育科で教えるべき内容が定まりました。しかし、子どもの頃に徒手体操や簡単なスポーツの授業しか受けておらず、2年間の教員養成校では学習指導要領とは異なる内容しか学んでいない体育教員が、学習指導要領を読んだだけで内容を理解し体育授業を実践することはできません。学習指導要領に書かれている「態度・知識・技能・協調性」を子ども達が身につけるためには、体育教員が質の高い体育の授業を実施していくことが不可欠であり、そのためには体育教員にとって分かりやすい指導書を作成することが必要になります。
2017年2月には指導書作成を推進する委員会(中央委員会、運営委員会、技術委員会)が結成され、3月には、教育省内の国立体育スポーツ研究所(教員養成機関)及び学校体育スポーツ局(現場教員育成・モニタリング担当)、州教育局の関係者を集め、体育を普及するための役割を明確にするワークショップを開催しました。
3月23日には、西山が教育省の年次会議に出席し、カンボジアの教育全体の中で体育が担う重要性について発表を行いました。
4月19日から21日には、日本体育大学の岡出美則教授を招聘し、指導書の体裁や内容の統一性を図るワークショップを開催しました。3日間のワークショップで、領域・種目間で統一性を保つことや内容の記載方法などを技術委員会がグループワークを通じて自分たちで考えながら確認することができました。
6月7日から9日には、NIPESで、約10名の教員と100名の2年生を対象としたワークショップを開催しました。NIPESは、中学高校の体育教員を養成する唯一の機関で2年制ですNIPESの教員が新しい体育を教えられるよう、また、学生が卒業後に配属される学校で新しい体育を教えることができるようになることを期待しています。
今後の活動としては、9月までに技術委員会が7領域・20種目【フィジカル・フィットネス(レクリエーション、体力テスト)、リズム運動(クメール体操、エアロビクス、創作ダンス)、伝統スポーツ(ボカタオ、ペタンク)、陸上(走、跳、投)、器械体操(マット、鉄棒、平均台運動)、水泳(水指導、クロール、平泳ぎ)、ボールゲーム(サッカー、バスケットボール、バレーボール、卓球)】の第1稿を作成し、プノンペン市、バッタンバン州、スヴァイリエン州において実際に教員に使ってみてもらいます。そのフィードバックを踏まえて修正を加え、11月の本邦研修を受けて、さらに修正を加えていきながら2018年9月までの完成を目指します。