子どものころから漠然とした憧れを抱いていたジャングルの中のアンコールワット。しかし20世紀の政治の振リ子の中で翻弄されたカンポジアの復興は多難だろう。人々の心の傷は未だ癒えていないだろう。たとえそうであっても、もしそこに将来に対する希望が生まれつつあれば、少しでもポランティア活動としてそれに協力したい、そしてその活動から私も生きていくエネルギーを得ることができるかもしれない。このような様々な期待と疑問と個人的思惑をかかえて、救護班医師として参加しました。
 しかしあの衣服を穿逸するようなカンポジアの光とアンコールワットの圧倒的威容のもとでランニングをする人々の姿は、私に全く新しい視点を与えてくれるものでした。真新しいシューズで眼を輝かせ走リぬいた子ども達。義足であっても走るのは当然だ、と言わんばかリのランナー。あの灼熱の太陽を楽しむような世界各国からの人々。全てが感動に満ちたアンコールワットの絵巻物でした。過酷な歴史と貧しい国土のカンボジアという私個人の思い入れなどとは無関係に人類の宝アンコールワットの下で自分の力を発挿できる場を得たという、カンボジア人の誇りと集まった外国人の敬意が、生き生きとした躍動感として伝わってきたのかも知れません。
 ハートオブゴールドの活動に参加させていただいたことに感謝いたします。あリがとうございました。