ハート・オブ・ゴールドは 2017年1月から3月に、スポーツ・フォー・トゥモロー事業の一環として日本スポーツ振興センターから再委託を受け、カンボジアパラリンピック委員会と協力して障がい者陸上発展プログラムを実施しました。1月30日、31日、2月1日には日本パラ陸上競技連盟会長で日本福祉大学の三井利仁教授と日本大学の近藤克之講師を招聘し、立位と車いすそれぞれのトレーニング・ワークショップを実施しました。専門的な技術指導を受けたことがないコーチや選手にとっては、これまでの練習方法を見直し改善する良い機会となりました。
その後、ワークショップで学んだことを取り入れて各自が練習を重ね、3月の上旬まで、週1回、約 2時間程度、計4回、オープンクラスという形で、障がい者の選手とコーチを対象とした振り返りの時間を持ちました。この中では、ワークショップで学んだことを再確認したり、体力測定をしたりして、学びを深めると共に、より効率的な練習ができるようアドバイスを行いました。
そして、3月11日、12日の2日間に亘り、再び近藤講師を招聘し、カンボジアにおいて初めてとなる障がい者のための短距離の陸上競技会を開催しました。設備や器具が整っていない中、100m、200m、 400m、800m の種目を、義手・義足・知的障害・視覚障害のカテゴリーに分かれて実施することができました。出場した障がい者ランナーは、競技志向の人から、陸上を始めたばかりの人までさまざまでしたが、それぞれのレベルに合った形で参加できました。ルールの厳格性や機材の不足などの課題もありましたが、障がい者ランナーが自らの能力を発揮できる場となり、参加者が楽しめる大会となりました。閉会式には教育・青年・スポーツ省のハン・チュオン・ナロン大臣も出席されました。
本プログラムは、JICA の短期青年海外ボランティア隊員である筑波大学の大学院生2名と学群生2名が、パラリンピック委員会や障がい者陸上連盟、メコン大学と協力して、事業をサポートしてくれました。
今後もこのような大会を継続的に開催するためには、運営能力の向上や資金集めなどが課題になりますが、ハート・オブ・ゴールドは引き続き、より多くの障がい者がスポーツを通じてより良い社会を築いていけるよう事業を進めていく予定です。