スタディツアーの際に実施している歯科検診ボランティアも3年目となり、これまで通り、NCCCでの歯科治療、チェイ小学校での歯科検診と歯みがき指導を行いました。さらに2016年は、HGデンタル班11名(久保、椋梨、寺浦、伊吹、森山、穂積、佐藤、神谷、中島、石井、上垣)に加えて、スタディツアー参加者(11名)も手伝って下さるということで、みがき残しチェックのための歯垢染色を新たに計画。一般参加の方々はアシスタントとして各教室で子ども達への歯ブラシや手鏡の配付、みがき残しチェックのための歯垢染色剤の配付、紙コップへのうがい用水道水の配給と洗口後汚水の回収、それに検診や歯みがき指導の補助をしてくれました。
活動の様子を詳しく報告します。
12月2日:午後からNCCCを訪問。歓迎式典後、デンタル班は子ども達の歯科検診と歯みがき指導を行いました。まず、これまで治療した歯の状態と新たにむし歯ができていないかを確認しました。これまでは時間の関係でできていませんでしたが、今回は歯科記録用カメラを持ち込み、歯や歯肉の状態だけでなく、噛み合わせまでを記録することができました。今後の治療計画に役立てたいと思います。グループは予防班と治療班に分かれ、予防班は歯垢染色によるみがき残しチェックと歯みがき指導、フッ素塗布を、治療班は2台のエンジンを使って2つの椅子に分かれ、充填や抜歯処置を行いました。これまでの治療と毎日の歯みがき効果により、新たに治療が必要なむし歯は少なく、抜歯数は年々減少しています。初年度はほとんどの子ども達の抜歯をしたことがウソのようです。
12月3日:チェイ小学校で幼稚園児96名、小1~小6年生558名、合計654名の歯科検診と歯みがき指導を行いました。約半数の先生が替わっており、昨年同様、まずは先生方に歯科検診の必要性を説き、検診票の見方や取り扱い方について説明しました。歯科検診は屋外で2名一組の4グループに分かれて行いました。カンボジアの子ども達は皆お行儀が良くて、検診は順調に進みました。歯みがき指導は、一般参加のボランティアがありましたので、歯垢染色剤を使ってみがき残しを確認してから行うことにしました。自分なりに一度歯みがきした後、みがき残しを染色し、確認してもらって、みがき残し部位をさらにキレイになるまで歯みがきするという方法です。各テーブルには、歯ブラシ以外に、水を入れた紙コップ、廃液用の紙コップ、みがき残し確認のための手鏡を配付。終了後にはその回収が必要になるため、ボランティアの皆さまに協力して頂き、大変スムーズに進められました。日本からノートパソコンとスピーカー、簡易プロジェクターを持ち込み、「歯みがきサンバ」という動画を使って、サンバのリズムと歌に合わせて上下左右と順番にみがいていく歯みがき指導は子ども達に大ウケで、どの教室でもアンコールの希望が出て2回ずつやりました。世界共通、子ども達は映像と音楽が大好きで、皆ノリノリで歯みがきできることが解りました!協力して頂きましたすべての方々に感謝申し上げます。
今回の検診結果は以下のようになります。
世界的なむし歯の評価基準になるものにDMFT(1人平均むし歯数)という数値があります。D(未処置う蝕歯;decayedtooth)とM(喪失歯;missingtooth;becauseofcaries)とF(う蝕が原因で処置された歯;filledtooth)の総和を人数で割った数で、要するに1人当たりのむし歯経験値です。幼稚園から小6までの654名中:むし歯のないものは8%、むし歯罹患率は92%。
2015年:幼稚園から小6まで対象者680人のDMFT=7.4。
2016年:幼稚園から小6まで対象者654人のDMFT=7.1。
一人平均7本以上のむし歯があり、乳歯のむし歯治療はほとんど行われていないことがわかります。2015年の7.4本から2016年は7.1本に減少しており、むし歯予防効果が現れているでしょうか。
12才時DMFT(永久歯列が完成する12才が世界的比較対象)を見てみると、2015年:6年生4.0、5年生5.6が、2016年:6年生4.3に。2015年に5年生だった子どもは2016年には6年生になっています。その間DMFTは5.6から4.3に減少しており、むし歯予防効果が現れているでしょうか。
HGデンタル班は2017年も活動する予定です。12月のスタディツアーでボランティア活動をして下さる方を探しています。歯科関係者かどうかは問いません。協力して頂ける方はHGにご連絡下さい。
最後に、歯ブラシなどの支援物資を提供して頂いたタカラベルモント(株)、ライオン(株)、SUNSTAR、(株)ビーブランドメディコ、サンデンタル(株)、(株)トミヤ、伊藤歯科器材(株)に感謝申し上げます。