本学がハート・オプ・ゴールドと関係したのは、1999年末頃であった。ノートルダム清心女子大学で「国際ポランテイアと理念と実際」授業を担当したが、1999年度よりボランティア体験(実習)を取リ入れることにしていた。授業の受講学生の希望も入れて、ハート・オブ・ゴールドのスタディーツアーに参加して、カンボジアヘ行くことになり、カンボジアでのNGOの活動の見学とボランテイア体験を2000年2月に9名の学生とすることにした。このツアーに参加した学生は非常に感銘を受け、夏休みに3名の学生が1ヶ月、スナーダイ・クマエ孤児院、2名が半年後プノンペンを再訪して滞在してきた。また、2名は、12月にハート・オブ・ゴールドが主催する「アンコールワット国際ハーフマラソン」にボランティアとして参加している。本年1月も、代表有森裕子氏が上記授業の特別講師として、学生に話をしてくださり、本年も第2回目のスタディーツアーとして、2月25日より3月6日まで、約10名の学生たちがカンボジアを訪問した。
 国際ボランテイアという貧しい国々になにかをしてあげる、あるいはなにかものをあげると考えがちである。貧困にあえいでいる、飢えている、学校がない、医薬品がないという現実を目のあたりにして、さしあたり何かをあげることが無用とはいえないが、多くのNGOの活動は、そのような活動が、本当に困っている人々のためにならなかったことを体験として、わかリつつあるように思える。「してあげる・してもらう」関係は、対等な関係でなくなる。大切なのは、対等な人間としての心と心の繋がりである。お互いに理解し会えることである。ハート・オブ・ゴールドの活動は、はじめからそれを目的としていることが高く評価できると思う。
 ポルポト政権下で、100万とも300万ともいわれる同じ民族が大虐殺され、その後の内戦で疲弊したカンボジアで、NGOの援助活動は、たいへん重要である。援助は、しかたを誤るともらうのが当たり前という依存度を高めるだけになる。カンボジアがカンボジア自身の手で自立・独立できるような援助でなければならない。その意昧で、ハート・オプ・ゴールドの活動の継続が望まれる。(人間生活学科教授田代菊雄)