カンボジア王国小学校体育科 指導書作成支援事業活動レポート
ハート・オブ・ゴールド アジア地域事務所長 山口拓
ハート・オブ・ゴールドでは、2005年12月までの5年間、体育指導者と小・中学生の体育授業を向上させる目的で、当該国教育省担当局と共に巡回形式の指導会を設け、継続支援を展開していた。
それらの活動を継続する中で、2005年1月、教育省側から、「授業が定着しない根源的な原因を改善する必要がある。その原因を改善しうる指導書の作成に、是非、手を貸して欲しい」との要請を受けることとなった。
教育省との念密な調整を重ねた後、JICAカンボジア事務所のNGOデスク、JICA中国センターとの検討および調整に入ったが、多くの事業を抱えるJICAでは、知識と情報が溢れており 申請前の相談で多くを学ぶことができ、とても感謝している。
さて、JICAカンボジアおよび中国センターの指導を受けた後、団体で作成された申請書は、念願かなって2006年2月、教育省学校体育スポーツ局を支援するJICA草の根パートナー型支援事業として認められ、開始された。(写真①)
ただ、「カンボジア王国小学校体育科指導書作成支援事業」にあたっては、指導書作成の前段階として統計資料がなく 統計資料や資料分析などから開始する必要があった。
そのためHGは、2月13 日に「統計資料作成および体力測定実施に関する指導」を目的に体力測定の専門家2名を派遣し、行政官10名と小学校教師26名の育成を図るべくワークショップを開催した。ワークショップの終了後には、参加者の配鷹校に調査団を派遣し直接的な調査を行った。それぞれの状況に応じて創意工夫するなど、積極的な姿勢で体力測定 (写真③)に取り組んでいた事などが確認されている。また、3月19日には、統計資料も然ることながら 指導書を作成する教育省担当行政官の知識と意識の向上が不可欠であることなどから 体育教育の専門家を派遣し、3日間の専門技術ワークショップを実施した。過密なスケジュールであったにもかかわらず、各授業項目後の執拗なほどの質疑、そして 授業休憩時間の専門家に対する質問など、熱心な姿勢が見られ、最終質疑時間には、時間を多く上回る質問が寄せられるなど、行政官の真剣な思いを感じ取ることができた。
現在は、体力測定と学校体育・スポーツ環境調査結果の分析」と「日本の体育科指導要領の翻訳」を行いつつ、 体育教育専門用語の統一化を図るなど、数年先を見越した土台作リを進め、第一草案の作成に取り掛かっている。
※JICA草の根技術協力事業/草の根パートナー型とは、開発途上国への支援について、一定の実績を有しているNGO等の団体が、これまでの活動を通じて蓄積した経験や技術に基づいて提案する開発途上国への国際協力活動をJICAが支援する事業です。