【カンボジア15州への体育科教育普及に向けて】

2013年4月から独立行政法人国際協力機構(以下、JICA)との共同事業である「カンボジア小学校体育科教育普及事業」の新事業を開始しました。2006-2008年には体育科教育の指導要領と指導書案の作成を、2009ー2012年には作成された指導要領と指導書案を用い、5州への体育普及事業を展開してきました。本事業では今まで普及してきた体育を単に15州に拡大するだけではなく、体育普及を担える教育省担当官:ナショナルトレーナー(以下、(T)の増員と育成、地方での普及を担う州や郡の教育局担当昌の役割の明確化、事業終了後も継続的に教育省が体育科教育を普及できるための政策へのアピール等を事業の中に組み込んでいます。
事業開始前の1月から3月にかけて、NTと昨年6月まで普及していた5州の10小学校、と5小学校教員養成校を視察してきました。視察の目的は、事業終了後の各対象校の体育授業の実施状況を確認するとともに、新事業に向けて、これらの小学校がモデル小学校になるということを意識づけるという点にありました。小学校の中には新しい体育ではなく、以前のクメール体操と呼ばれるラジオ体操の音楽がないような体操に戻りかけている小学校もありました。今回の視察では、校長先生のマネジメント能力の重要さが再確認できました。
4月に入り、カンポジア教育省、JICA、HG関係者が集まり、事業開始の会議を開催し、その後、NTの育成講習会(4月、5月)、新規対象の2州においての拠点校の選出活動等をすでに実施しました。
事業が本格的に動くのはこれからですが、2016年9月までの事業で新しい10州20校の小学校と8校の教員養成校に対し、ワークショップやモニタリングを実施し、それらの学校からさらに地方の小学校への普及システムを確立することにより、カンポジアの子供たちが体育を通して態度・知識・技術・協力等の教育を学べるように事業を進めていきます。

【NT:DokKirirath氏(教育省学校・体育・スポーツ局副局長)からのコメント(要約抜粋)】

HGと協働して体育を普及するまでは、体育とは授業の5ー10分で手と足を動かせばよいと考えていましたが、HGと事業を開始してからはカリキュラムや指導書の作成、カンボジア5州への普及、体育普及の為のワークショップの開催等、さまざまな活動の中で体育の重要性を理解する事ができました。今後もHGと共に、小学校体育の普及だけでなく、運動会の開催、指導書の作成・配布、さらには中学校体育の普及等、カンボジアの子供どもたちのために新しい体育を普及していきたいと思います。