カンボジア教育省は、2020年までに教員養成校や小・中・高の学習指導要領、指導書、教科書などを改訂するため、2017年にそれらの改訂委員会を設立しました。委員会は、2018年に学習指導要領を、2019年に指導書を、そして2020年に教科書を作成する計画です。改訂委員会の中に各教科のサブ委員会が作られていて、体育科のサブ委員会もあります。小学校体育は、学習指導要領と指導書が2006~2016年のハート・オブ・ゴールド(HG)とのJICA草の根技術協力事業で完成しました。中学校体育も、HGとのSportforTommorrow事業で作成された学習指導要領が2016年12月に国から認定され、引き続き、JICA草の根技術協力事業で指導書の作成支援を行っています。高校体育は、2018年に教育省が初めて独自予算で学習指導要領を作成しました。学校体育・スポーツ局の年間計画によると、続いて2019年に指導書を作成することになっていますが、具体的なイメージが持てないため、小・中の体育の開発を一緒に実施してきたHGに、日本での研修依頼がありました。
研修は2018年10月23日から30日までの8日間行われ、文部科学省の担当官や日本体育大学の岡出美則教授、桐蔭横浜大学の佐藤豊教授の講義を受け、ワークショップをし、2つの高校を見学しました。
参加した教育省の担当官7名は、体育を通じて「態度・知識・技能」をどのように教えるのか、実際に現場では体育の授業をどのように行っているのか、また、教員養成システム確立の必要性等について学びました。種目の選択についても、日本では中学3年から導入されていますが、カンボジアの高校では体育教員の不足等の問題があって難しいことや、小・中・高全体として考えた時に、子ども達がどのような流れで体育を学習すれば、カンボジアの教育の目標である「持てる可能性を最大限に活かせる国民」を育成していけるのかを考える良い機会となりました。引き続き、体育科のサブ委員会として、今回学んだことを元に、カンボジアの高校体育の指導書作成を支援していきたいと思います。