その日、朝から5~6人の男の子だちが、養母サレッさんの指荘の下、幕を張って舞台づくりを開始しました。これは新しい衣装をお披露目する伝統舞踊発表会のものでした。まずは女の子だちが楽屋(研修センターの小部屋)で準備を開始します。もちろん男子禁制。ひとりひとり、髪を結い、おしろいをたっぷり塗ったお化粧をしてもらいます。それからいよいよ新しい衣装。まずいちばん年上のリエップから、先生が着せていきました。でも最初は、飾り付きの長い衣装をどうやって巻きつけようかと、試行錯誤の繰り返しです。
ようやくリエップの衣装が完成すると、皆一声に「サアート(きれい)!」他の子たちも、お互いを手伝いながら完成していきます。そうすると、もう「サアート、サアート」の嵐で、衣装を着て「サアート」、髪飾リを付けて「サアート」、腕輪を付けて「サアート」といった具合です。楽屋は大盛り上がりでした。
メンバーが舞台に出ると、観客ー同、美しさに「おー!!」と歓声があがりましだ。写真撮影はフラッジュが飛び交い、まるで記者会見のようです。そして夕日も落ちた頃、本番が始まりました。まずは伝統的な音楽と共に女の子たちが登場し、歓待の踊り、フラワーダンスヘと続きます。踊りの立ち居振舞いはもちろんですが、何よりみんなの表情がとても優雅でした。小さい女の子も一人前の踊り子で、観客への笑顔は「おもわず笑ってしまった」のではなく、踊り子としての優雅な微笑みです。恥ずかしさよりも、プロ意識みたいなものを感じました。