ハート・オブ・ゴールドインターン 天野裕美

 バッタンバンの市街から車で20分ほど行くと、るしなの農場とチャイルド・ケア・センターのあるトロス村につきます。私が初めて訪れた時は、ちょうど田植えが終わって、みんなお昼に帰ってきたところでしだ。泥だらけになっだ手足を井戸で洗い、元気にお昼を食べていました。
 センターでは7歳から19歳まで、20人の子ともたちが暮らしています。初めて会ったときは、すこし恥ずかしがりながら、でもどんな小さな子も、ちゃんと手を合わせて笑顔で「こんにちは」のあいさつをしてくれましだ。センターの子どもだちはお行儀がとてもいいです。訪れるたびにしっかりあいさつに来るし、私がセンターのお母さん的存在であるサレッさんと打ち合わせをしている時、またお昼寝をしている時なども「遊んでほしい」とせがみに来て邪魔することはありません。これは現地スタッフの教育のおかげでしょう。
 まだ、日本からのプレゼントを渡す時も、子どもたちはみんな座り、サレッさんから自分の名前を呼ばれるまでちゃんと待っています。そして手渡された時は、両手をあわせて「ありがとうございます」とぺこりとお辞i義をします。ほんとうに行儀がいい!でも手渡された順から鉛筆や定規、Tシャツをひろげ大はしゃぎでしたが…。とにかく、みんなほんとうに嬉しそうでした。センターの子ともたちには、みんな平等にものが配られます。サレッさんがプレゼントを手渡す時も、おやつを配る時も、ちゃんと平等になるように気が配られています。みんないっしょ、みんな平等ということが、また彼らに仲間意識を持たせるのではないでしょうか。一方もらった子どもだちは、自分のものを仲間うちにわけてあげることをよくします。たとえば、もらったおやつを少しくれたり、また自分のおこずかいで買ったおやつも、近くにいた仲間にわけて一緒に食べたりします。10歳の子が、私にまで小さなおまんじゅうをわけてくれたことは忘れられません。
 私は子どもたちにインタビューをしました。何より心に残ったことは、子どもたちのチャイルド・ケア・センターの感想についてです。「ケア・センターの生活は楽しいですか?」という質問に対して、子どもだちの答えは全員「楽しい、幸せ。」です。そしてその主な理由は、「仲間がいること、十分な食事と服があること、勉強ができること。」です。しかし注意したいのは、「十分な食事」とありますが、日本で考える「十分」とは違うことです。ある日の1日の食事は、朝食:おかゆ昼食:うりと鶏肉のすっぱいスープとごはん、夕食:焼き魚とごはん、というように一食一菜が基本でした。食事や服や施設に関しても、日本で考えたら足りないものだらけですが、実際子どもたちは楽しく幸せだと言います。このインタピューを通して、大切なことは、「食事、衣服、遊び仲間、勉強」が揃い、プラス実の親でなくとも自分たちを保護し、見守ってくれる存在がいるというこの環境を子どもの成長に合わせ、維持し続けることだと思いました。