カンボジア王国 中学校体育科教育 指導要領・指導書作成支援事業

ハート・オブ・ゴールド(以下、HG)は2006年から教育・青年・スポーツ省と共にカンボジアの小学校の体育科教育を発展させるために活動を継続しています。小学校の新体育は少しずつ普及している一方、小学校を卒業した子供たちは以前の体育に戻ってしまい、子供の発達時期に重要な「態度・知識・技術・協調性」と言った能力を培うことができない状況です。教育・青年・スポーツ省内でも担当部署が異なり、どのように発展していけば良いか分からない状況でした。今回、HGは文部科学省平成26年度戦略的に国間スポーツ国際貢献事業を受託し、2015年1月から3月まで、現在の中学校体育科教育の状況を把握し、今後の指導要領及び指導書の作成支援及びそれらを用いた新体育の普及を進めるべく、以下の3つの活動を実施しました。

①カンボジア国内中学校体育科教育の調査

1月に教育・青年・スポーツ省との協議の下、コンポンチャム州とパイリン州をモデル州として、各州5中学校、計10校の中学校の体育施設状況や体育授業実施状況等を、校長・教員・生徒へのインタビューやアンケート、授業視察等を通して実施しました。
小学校と異なり、体育教員がいる中学校では、よりスポーツ的な授業が実施されている一方、統一性のない授業を実施していたり、以前からのクメール体操(ラジオ体操の音楽のない体操)を実践していたりと現時点のカンボジア体育科教育の置かれている状況を把握することができました。

②本邦研修

2月9日から18日まで、9名の教育・青年・スポーツ省の担当官を東京・横浜・岡山において5中学校、1中学校の体育授業や部活動の視察、筑波大学岡出教授の講義、文部科学省教科調査官の説明、岡山大学原准教授の講義を通して、日本の体育授業の成り立ちや歴史、政策との関連性、授業の実施方法や指導案等について学び、今後のカンボジアの体育科教育の発展のための基本的知識を習得することができました。

③ワークショップ

3月11日から13日の3日間、岡山大学の原准教授にカンボジアにお越しいただき、44名の教育・青年・スポーツ省の担当官を対象に参加型のワークショップを開催してもらいました。教育・青年・スポーツ省内の国立体育・スポーツ研究所及び学校体育スポーツ局担当官、州教育局担当官、5州の各2中学校から校長及び体育教員が参加し、それぞれの立場から体育科教育の指導要領及び指導書作成や体育授業実施に対する見解を共有し、どのような体育科教育を普及していきたいかを話し合いました。最終日には具体的な長期計画も作成し、今後の体育科教育発展に向けた準備ができました。
HGは引き続き、カンボジアにおいて小・中学校一貫した体育教育が実践できるようカンボジア教育・青年・スポーツ省と共に活動を続けていきます。

【サム・ソピア(HG東南アジア事務所プロジェクト・アシスタント)の所感】

今回初めて日本に行き、日本の整理されている街並みや人々の優しい雰囲気にとても驚きました。教育についても障がい者への配慮もされており、とても感銘を受けました。体育科教育については、日本の歴史や経験から、軍力の育成のための体育から、民主化に伴う道徳性や礼儀作法を教える場としての体育へ、さらにはオリンピックに向けてのスポーツ選手を育成するための体育へと時代と共に変化している状況等、大変勉強になることばかりでした。今回この機会を与えてくれたHG及び文科省のスポーツ・フォー・トゥモロー事業に大変感謝すると共に、今回の経験を今後もカンボジアの体育科教育の発展のために生かしていきたいと思います。