カンボジア教育・青年・スポーツ省(以下、教育省)は、教育改革を進めており、ASEAN基準に合わせるため、すべての教員が学士(4年制大学卒業)を取得できるよう4年制の教員養成課程を設立しようとしています。一方、体育科については、国立体育・スポーツ研究所(以下、NIPES)において2年制課程で中学校・高等学校の体育教員を養成していますが、4年制にするためにはカリキュラム等のシステム構築、人材育成、施設整備等、多くの課題を抱えています。よって本事業では、他教科の教員養成大学と一貫性のとれた4年制体育大学を設立することを目的とし、目標は以下の3つです。
①大学に移行するための制度の整備。
②質の高い体育を教えられる人材の育成。
③質の高い体育を教えられる施設の整備。

1月より事業を開始し、これまでに実施した活動は、
1)体育科コース4年制大学設立委員会を設置し、1月11日にNIPESと教育省の関連局である教員養成局、カリキュラム開発局、計画局、高等教育局による第1回キックオフミーティングを実施。
2)1月21日にスポーツ総局下にあるNIPES、学校体育・スポーツ局、体育・スポーツ局、ナショナル・トレーニング・センターが集まり、第2回キックオフミーティング開催。
3)2月18日~20日、NIPESの教員と職員がNIPESの現状と課題を理解し、体育科コース4年制大学化に向けたプログラムを検討するための基礎知識を獲得するためのワークショップ(山口 拓助教/筑波大学)を実施。
4)2月26日~27日、カリキュラムを作成するために必要な情報、知識を学び、グループワークを通じてカリキュラムフレームワーク案を作成。
5)3月19日~22日、アドミッション・ポリシー(NIPES4年制大学体育科コースに入学するための条件や入学時点で必要な資質等を定めた基本方針)検討ワークショップ、NIPESを卒業した学生が築くキャリア形成方針とNIPES職員及び体育教員が新たに学士を取得するための道筋を検討するワークショップ(岡出美則教授/日本体育大学)を開催。
6)5月6日~15日、4年制大学体育科コースで教えていくための能力を向上させるためにNIPESの体育教員4名の日本研修(日本体育大学、国士舘大学、横浜桐蔭大学を視察)を実施。
7)質の高い体育を指導できる環境整備として、プール(25mx15m)の建設工事を3月より開始。

今後は、評価ポリシー、体育科コース運営ハンドブック、教員マッチアップ等のワークショップを開催し、4年制大学に移行するための制度を整え、タイ研修(8月)、日本研修(11月)を実施し、人材の育成を図ります。また、プール建設と関連機材の設置工事、施設管理ワークショップ、施設運営マニュアル作成、そして、NIPESがプールを運営管理できるようにする予定です。