3月1日、2日の2日間、オリンピックスタジアムにてカンボジアパラリンピック委員会(以下、NPCC)とハート・オブ・ゴールド主催の第3回カンボジアパラ陸上競技会を開催しました。
JICA短期派遣ボランティアの筑波大学大学院生中村さんと社会人(陸上経験者)石川さんが2018年12月から競技会までの3ヶ月間、トレーニング計画の作成、生活面においての注意点、フォームチェック等を行うワークショップを開催、そして、コーチの指導をサポートしNPCCとも協力しながら競技会の企画運営を一緒に行いました。中村さんは、昨年に続き再派遣であり、前回の反省を活かしながらスムーズに活動され、石川さんが専門的な知識・視点から様々なアドバイスをしコーチが自ら考え、行動できるようサポートしてくれました。
競技会には24名(立位選手19名、車いす選手5名)のパラ陸上選手が参加しました。視覚障がい女子、知的障がい男女、四肢切断男女、義足男子、車いす男子の、障がい別、距離別の合計24種目を設定しました。それぞれの種目で1位~3位にはメダルの授与、スポンサーであるActivePeopleʼsMicrofinanceInstitutionPlc.から賞品の贈呈がありました。
今回は、新しい選手発掘のため、また走ることの楽しさを味わってもらうために障がい者向けに100mのオープンレースを新設しました。100mを走ったことのない方がほとんどで、今回走ってみた感想を聞くと「とても大変だったが、最後まであきらめずに走ることができた」や「楽しかった。また来年も参加したい」という声を聞くことができました。
また、前回に引き続き、障がいを持った子ども達のためのファンイベントを開催し、パラ陸上選手を中心とし、「だるまさんが転んだ」と「リレー」等で走ることの楽しさや体を動かすことの楽しさを伝えました。普段スポーツをする機会がない子ども達が多く、またスタジアムで選手とともに走ることができるので、どの子もとても楽しそうにしていました。オープンレース及びファンイベントには10団体(バッタンバン州1団体、カンポット州1団体、プノンペン近郊8団体)から大人・子ども含め約120名の障がい者が参加しました。
競技人口がまだ少ないため、パラ陸上の啓発活動を行っていくことは、新しい選手発掘のため大変重要であると感じています。また、パラ選手にとっては、子ども達の憧れの存在になることにより、応援してくれる人達のために頑張ろうと、日々のトレーニングに励み、国際大会でのメダル獲得を目指すモチベーションになります。
大会前にはカンポット州にあるアートを通じた障がい者支援をしているEpicArtCambodiaを訪問し、パラ陸上の紹介、トレーニング、ゲームを行い、走ることの楽しさを伝えました。質疑応答の時間には、たくさんの質問があり、選手が自分に誇りを持って答える姿が印象的でした。中には車いす選手になりたいという方もおり、大変有意義な時間を過ごすことができました。EpicArtCambodiaは今回の競技会で開会式及び閉会式にてダンスパフォーマンスを披露してくれました。
2023年にカンボジアで東南アジア大会、パラ大会が開催されることにより、カンボジア国内でのスポーツ熱は年々盛り上がっています。HGが開催するパラ陸上競技会は、2023年を意識した大会運営を心がけています。いずれはアンコールワット国際ハーフマラソン大会(AWHM)をカンボジアオリンピック委員会に運営移譲したように、このカンボジアパラ陸上競技会もカンボジア人が自分達で継続して運営できる大会にしていきたいと思っています。そのためにも今後、HGの障がい者スポーツ事業として、パラ選手・コーチの能力向上をNPCCと力を合わせて、二人三脚で取り組みたいと考えます。まだまだパラ競技人口が少ないため、大会実施とともに、啓発活動を行っていき、障がい者がスポーツを通し、新たな人生を見出していくことを、応援したいと思います。