■チャイルド・ケア・センター設立のきっかけ
「街で子どもだちに物乞いをされてもお金を渡さない自分がいる。だとえば100リエル渡したとしても大きな出費ではないのに、あげない自分。で、自分としてどういう行動をとるか、と考えたら、それがチャイルド・クアー・センターに子どもを引き取ることだった。」このことがセンター設立のきっかけになりました。
街にいる物乞いの子どもたちは、靴や洗濯ものを盗んだり、時には結婚式で盗みをしたリして日々の生活を立てている子もいます。そして、その生活の中に麻薬がはびこっていることもまれではありません。そんな子どもたちを保護しようとチャイルド・ケア・センターのプランは始められましたが、物乞いの子どもたちは施設に入ることを嫌がります。それは施設に入ってしまったら、規則に縛られると考えるからです。街で物乞いをしていれば、ある日は外国人に$1をぽーんともらい、そのお金で好きなものを買い、ゲームセンターで遊ぷこともできます。彼らにとっては物乞いの生活の方が、自由気ままで居心地がいいと感じるのかもしれません。しかし実際、物乞いの子どもだちの生活では、麻薬、病気、暴力、そして売られるという危険にさらされているのです。身寄りのない子どもだちを放っておくということは、街の物乞いになったり、重労働を課せられたり、いずれにしても、子どもたちを心身ともに危険にさらすこととなるのです。
街の物乞いの子どもたちをきっかけとして設立された、るしなのチャイルド・ケア・センターでは、身寄リがなかったリ、エイズや家庭内暴力など家族や自分自身に問顆を抱えた農村の子ともだちが、20人仲良く生活しています。みんな明るい笑顔で、たくさん遊び、たくさん働く、元気な子どもたちです。厳しい境遇にあった子どもたちがチャンスを得て、楽しく生活できるということは、本当にすばらしいことではないでしょうか。
■チャイルド・ケア・センターにおける方針
センターの子どもたちに、カンボジア文化に根ざした教育をすることが基本にあります。そのため子どもたちは村の学校に通っていますし、センターのお母さん的存在であるサレッさんは仏教徒で、クメールの伝統に詳しい万です。まだカンボジア文化に根ざしだ教育は、ケアセンターの子どもちたが伝統舞踊を習っていることからもうかがえます。「伝統文化を学ぶことで、それが自分のアイデンティティにつながり、伝統文化への誇りは、自分の誇りにもつながる。」と松本さんは老えています。ケア・センターの子どもたちに西欧的な自治性を取り入れようかという案もあったらしいのですが、今のところは「クメールはクメールで」というのが方針のようです。